Web3.0
Web3.0という言葉には何の意味もない.
実装があるわけでもなく,概念体形だけしか存在しないものにバージョンなど無いのだ.
当然,What Is Web 2.0 - O'Reilly Mediaを発表し,Web2.0という言葉を作り出したTim O'Reilly自身も,Web2.0という言葉だけが先行してビジネスの世界を一人歩きしている現状について,西村博之との対談で
西村氏:Web 2.0って言葉はバズワードとも言われているよね。
O'Reilly氏:バズワードにはたいてい意味がある。多くの人はWeb 2.0をバズワードとしてしか使ってない。「おれたちWeb 2.0企業さ」とか言って、実はWeb 2.0企業でもないのに。
私が人に理解してほしいのは、コンピューター業界の根本的構造が変わりつつあるってことだ。もしかすると他の業界も変わりつつあるかもしれない。その変化を人々にわかってもらいたい。
ひろゆきがティム・オライリーに直接きいた、「Web2.0ってなんだったの?」 - (page 2) - CNET Japanより引用
と述べている.
Web2.0にはWebはこっちの方向に向かうよという意味しかない.
だから,最近Web2.0ってだけじゃ商売にならないからWeb3.0いってみようか!見たいな動きには何の意味もない.
ウェブ3.0の姿をつかめ:何がキモになるのか? - CNET Japanなんて記事がCNETに出ていて,その元ネタ Jemima Kiss: Web 3.0 is all about rank and recommendation | Media | The Guardian で,Jemima Kiss 女史が
If web 2.0 could be summarised as interaction, web 3.0 must be about recommendation and personalisation.
トカイッテいる.
そんなことTim O'Reillyも言及しているし,Tim-Berners-Leeの「The Semantic Web」がその先駆だ.日本では2001年にはHotWiredの特集記事,P2Pの衝撃というのですでに「個人化されたリコメンデーション」に触れていたし*1,研究の世界では当たり前.
僕ですら,2004年くらいのBlogに個人化というタイトルで記事を書いていたほどだから,本当に意味のないことだと思う.
古くは,1945年にVannevar Bushが発表した論文「As We May Think*2」,Ted NelsonのXanaduは1960年,彼の名著「Computer Lib/Dream Machines」,「Literary Machines」は1974年・1981年だ.そしてTim-Berners-LeeがWebを作ったのが1990年,先述のThe Semantic Webが2001年.
それぐらい前からWebの未来をみんなが思い描いてきた.
2005年,Tim O'ReillyはそのWebが向かうであろう,向かうべき,未来をWeb2.0という言葉でまとめた.
だから僕は,「Web3.0はリコメンデーションと個人化」っていうのはアイディアでもなんでもないと思う.
そんな言葉で規定されるWeb3.0はWeb2.0の劣化版でしかない.
というか,こういうはた迷惑なムーブメントを起こさないで欲しい.
聞かれたときに説明するのが面倒.
Web2.0がこの程度なら、SoyaはWeb3.0のための基盤である。
とか書いてあって・・・,Web3.0とか言う言葉を使ってますね,はい.
2006年8月のことです.
僕は,このときSemanticWebによって実現されるデータの分散管理と,分散したデータを機能別に特化したモジュールを利用したクエリ*3によって集約する,ということで個人情報の分散化とリコメンデーションを実現させようと思っていたんだとおもう.
うーん.高邁だ.大風呂敷過ぎる・・・