- 作者: 幸田文
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1996/11
- メディア: 文庫
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読もう読もうと思って積読している本の中から発見.
幸田文は前に薦められたんだけど,読んでいなかった.
このきものは,著者の没後に発表されたもので,著者曰く「未完」だそうだ.
幸田文ははじめて読んだけれど,淀みなく清々とながれていくような文章は小気味よくて,あっという間に読み終わってしまった.
物語は日露戦争のときに生まれた主人公,るつ子が成人して嫁ぐまでの20年ほどの間,きものにまつわる話を中心に彼女が成長していくさまが綴られている.
日本人が100年前に大切にしていた慎ましさのようなものが濃縮されて詰まっている.読後,果たして僕らは奔放に自由になったのか,それとも何かを失ってしまったのだろうかと考えさせられた.